事前準備とカウンセリング
エステティシャンが顧客を迎えるための事前準備とカウンセリングの重要性について詳述します。エステティックサロンにおける顧客体験を向上させるためには、エステティシャンの身だしなみやサロン環境の整備、そしてカウンセリングを通じた顧客とのコミュニケーションが不可欠です。これらの要素を適切に実施することで、顧客の信頼感を高め、満足度を向上させることができます。
1. 事前準備
(1) お客様をお迎えするための準備
#### ① エステティシャンの身だしなみ
お客様に好感と信頼感を持っていただくために、エステティシャンの身だしなみは非常に重要です。ユニフォーム、靴、ヘアメイクなど、常にエステティシャンらしい清潔感に気を配ります。また、お客様に直接触れる手は、見た目も感触も良い印象を与えるために常にお手入れを心がけましょう。
#### ② サロン内の環境
お客様に心地よく過ごしていただけるよう、適度な明るさの照明、静かで落ち着く音楽、適度な室温など、サロン環境を整えます。また、常に衛生を心がけ、お客様が直接触れるシーツやタオルは清潔で気持ちの良いものを用意し、用具類は事前に消毒を済ませておきます。
#### エステティックに必要な準備品
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トリートメントベッド
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エステティシャン用いす
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ガウン
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スリッパ
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シーツ
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タオルケット
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バスタオル
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タオル(胸もと、ターバン、手拭用)
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スチームタオル
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ワゴン
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エステティック機器と付属品
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タオル蒸し器
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コットン
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綿棒
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ティッシュペーパー
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ボウル
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カップ
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スパチュラ
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ハケ
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ゴミ箱
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消毒液
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化粧品類
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カウンセリングシート
2. ビフォーカウンセリング
(1) 目的(施術前の確認)
カウンセリングは、目的に合わせたお手入れを行うために、お客様の来店目的や肌の悩み、ご要望、現在の皮膚の状態、健康状態、生活習慣、生活環境とともに、禁忌事項の有無などを確認します。また、お客様とのコミュニケーションを深める重要なステップです。さらに、お客様に対してはトリートメントの内容、期待できる効果、所要時間や料金を説明します。
(2) 手法
カウンセリングシートに記入していただき、これをもとにカウンセリングを進めます。お客様の表情をよく観察し、肌の状態を感じ取ります。また、肌タイプを見極めることも重要です。
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普通肌:皮脂と水分のバランスがとれており、キメも整っているが環境で変化しやすい。
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混合肌:全体的に水分不足で、Tゾーンの皮脂は過剰な状態。
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脂性肌:皮脂が多く、ベタつきを感じやすい。
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乾燥肌:皮脂・水分ともに不足している状態でかさつく。
カウンセリングでトリートメント内容を決めても、クレンジング後の肌状態に応じてトリートメント内容の変更を行うこともあります。その意味でも、クレンジング後の肌状態をしっかり見ることが大切です。
(3) 禁忌事項
エステティックは原則として健康な方を対象としています。以下に記す症状は、フェイシャルエステティックの対象外です。
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皮膚疾患(湿疹、アトピー、アレルギーなど)
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伝染性の皮膚疾患
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外傷のある部位(傷、打ち身、あざ、やけどなど)
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炎症、化膿などのある部位(炎症ニキビ、化膿ニキビなど)
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毛細血管拡張の部位
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大きくなっている黒子
3. カウンセリング後のトリートメント準備
① 化粧品、器具、備品の準備
カウンセリングによって決定したトリートメントに必要な化粧品、器具、備品などを用意します。
② いすの高さの調整
エステティシャンが腰に負担をかけず、腕を自由に動かしながらお手入れできる状態を作るために、いすの高さを調整します。エステティシャンがお客様の頭側に座り、脇を少し離して肘を直角に曲げたときに、両手がお客様の顔に自然と触れられる高さが理想です。
③ 消毒
トリートメント前に手や指先、腕を抗菌性石けんなどで丁寧に洗い、消毒します。また、トリートメント中、エステティシャンの手が、お客様の肌や消毒していないものに触れたりした場合は、必ずその都度消毒をし、清潔な状態を保ちます。